先日、横開きのスコアカードホルダーを作ってくれないかとお問合せいただきました。
ちょうど制作時間も取れる状況になってきておりましたのでまずはご希望をうかがうことに。
メンバーになっているゴルフクラブにはスコアカードホルダーが無くてメンバーはみんな困っているそうで、色々ネットや実店舗で探したが希望に合うものが無かったので問い合わせてみたとの事。
具体的な要望はメンバーコースのスコアカードが無理なく収まること、スコアカードは2つ折りで収納するのではなく、見開きで収納して全体を見たい、記入に適した適度な硬さと高級な革を使ってほしい。というのが主な希望で他にもいくつかありました。
- クラブ名の名入れ
- 名前の名入れ
- ペンホルダー
- 革色は黒~濃い緑
横開きというよりは横長縦開き
それぞれのゴルフ場のスコアカードは大きさやフォーマットが見事にバラバラなんですね。
実際のスコアカードを見ると縦長の横開きではなく横長の縦開きでした。
このスコアカードがしっかり収まるサイズを設計します。
設計はアドビのイラストレーターというソフトを使います。
設計ができると厚紙に印刷して実際に組み立ててみます。
これにスコアカードを入れてみて不具合などないか確認します。
スコアカードを固定するポケットが記入欄にかからないかとか余白は適当か、スコアカードホルダーを閉じたときはどうか、ペンホルダーの位置はいいかなど。
革について
革の色は黒か濃い緑。
黒の革は今発注していますが、メーカーで欠品中なので在庫がかろうじてある緑の革を使うこととしました。
これと同じですね。
この革はしっとりとした手触りで高級感もあり、水も弾くので雨の中でも使うスコアカードホルダーには最適だと思います。
他に高級な革はどんなものがあるかと聞かれました。
わかりやすいところで財布などに良く使われるコードバンについて説明しました。
馬のお尻の部分を使うので1頭から少ししか取れないことや、ほかの革と加工の仕方が違うので値段が高くなるということなどです。
革の値段について
革の価格は主に以下の3つで決まります。
- 素材の希少性
- 鞣しや加工の手間
- 他費用
まずは素材の希少性です。
一般的な牛革や豚革は食肉を処理する際の副産物です。この副産物を有効利用しているわけです。
一方、数が少なかったりあまり利用されないものは素材自体が高価なんですね。
珍しいところではゾウ革やアザラシ革やカエル革、最近話題になったのは近大マグロのマグロ革もあります。
次に鞣しや加工。
肉から剥いだ皮から素材としての革にするためにする加工が鞣し(なめし)と言います。
この鞣しのやり方によっても値段がずいぶん変わってきます。
昔からある植物タンニンを使って鞣すと仕上がりまで時間がかかりるので当然高くなります。
ですが今は化学薬品で鞣す方法が主流で、仕上がりが早く一定の品質にしやすいし発色も良いなどの特長もあります。
他の費用
おもに輸送費や保管の費用です。
よく、イタリア製やオランダ製の高級革などとの記述を見ますが、海外製の革は輸送費や関税がかかりますので当然高くなります。
また、なかなか流通しない革だと長期間保管しなければならないのでそれも価格に入ってきます。
では実際どれくらい値段が違うのかと思いますよね。
今回使用する革を基準とすると、コードバンは5~6倍、クロコダイルだと20~100倍とかなり違います。
また、牛革に比べるとコードバンやクロコダイルは面積が小さく歩留まりが悪いので、部品として切り出したときにはさらに高価となります。
以上のことから用途に合った革を選ぶことが何より大切なんです。
あ、あと合皮って革じゃないですからね。
合成皮革はビニールですよ、ビニール。
お間違いの無いように。笑
名入れについて
現在、名入れはアルファベットのみ対応となります。
フォントの種類は1種類のみとなります。
活版印刷に使っていた英字フォントの刻印を使って名入れをします。
また、オリジナルのロゴやフォントを使いたい場合は別途刻印を作る必要があります。
写真などのデータを頂ければこちらでトレースしてデータ化して制作することもできますし、ほかの業者に作ってもらったものがあればそれを利用します。
名入れは刻印に圧力をかけて凸凹を付けるタイプです。
金や銀の色を入れる箔押しはできません。
この刻印はアクリルで作っています。
適度な硬さと質感
ご要望の中にスコアカードに記入しやすい適度な硬さを挙げられていますが、これはスコアカードホルダー制作した当初からこだわっていたところです。
あのゴルフ場で渡されるビニール製のスコアカードホルダーってグニャグニャで記入しにくいですよね。
あれが非常にストレスなのでリブートゴルフのスコアカードホルダーは適度な硬さにこだわっています。
この適度な硬さを出すのって意外に難しくて革自体の硬さや厚さで変わってきますので、コンマ1ミリの単位で革の厚さを調整したり、芯の厚さや素材も変えてみたりと微調整は続いています。
また、制作直後の質感、例えばスコアカードホルダーを開いたり閉じたりするときの質感は使い込んだ時と変わってきますので、その辺も気にしながら制作しています。
さて、厚紙での試作と仕様をまとめて確認いただきましたので、制作に入ります。
オリジナルのスコアカードホルダーを希望の方はお気軽にお問い合わせください。
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