2年ほど前に制作したコードバンのスコアカードホルダーの修理依頼がありました。
小ポケットとペンホルダーが傷んできているが気に入ってるのでどうにか修理できないかとのことでした。
写真で状態を送ってもらえましたが、まずはスコアカードホルダーを送ってもらい状態を見ます。
修理前の状態
実物を見ての第一印象はすっげー使い込まれてる!
制作日の刻印がありました。
結構頑丈に作っていますが、後ろポケットにいれているんでしょう、ペタンコになっています。
窓ポケットも擦れています。
ペンホルダーもとれそうです。
小ポケットは両方とも革が破れています。
しかしコバ(革の切り口)はしっかりと艶がありました。
さすが繊維が細かいコードバンです。
修理内容
修理のご希望はペンホルダーとポケット小の破れ。
これらを新しいものに付け直します。
ばらし
まずは周囲の縫い糸を解きます。
手縫いだから縫い糸を解くのが非常に面倒。
逆に言えば、糸がどこかで切れてもほつれにくい。
これが手縫いの良さですね。
ペンホルダー、ポケットを取り外します。
部品の制作
新たに付け直す、ペンホルダーとポケットを作ります。
寸法通りに切り出し、規定の薄さに漉きます。(漉く=革を薄くする)
コードバンは傷付きやすいので銀面(表)に保護テープを貼って漉き加工をします。
真ん中下の部品はペンホルダーの失敗作。
漉きの厚さが薄くなりすぎました。
ペンホルダーは丸めて接着したりポケット小に捻を入れたりで、本体に取り付けられる形にします。
部品の取り付け
作った部品をもとの位置に接着剤で貼り付けます。
部品をはがした場所は、接着剤カスや革の残骸、ほこりもあるのでやすりで丁寧に取り除きます。
そしてポケット、ペンホルダーを貼り付け、表側から縫い穴をあけます。
縫いと仕上げ
縫う前に部品を取り付けた部分の段差を紙やすりで直し、色を入れて大まかに直しておきます。
右のはがれているとことは最後に直します。
もとと同じ糸で周囲を手縫いします。
次に周囲全体に捻を入れます。
捻を入れると引き締まって見え高級感がでます。
その後、もう一度コバにやすりをかけ、剥がれや段差がないようにします。
窓も磨いて、最後に革クリームを塗りこみます。
これで修理完了です。
また、長く使ってもらえることを願って発送しました。
修理は制作者の宝箱
修理依頼が入ると私は非常にうれしいのです。
なぜかというと、
- しっかり使ってもらってる
- 修理してさらに使おうとしてくれている=気に入ってもらえてる
- 傷み具合で弱いところがわかる
からなんです。
ひとによって使い方や癖は様々ですが、使い込まれた革製品は私たちに様々のことを教えてくれる。
この縫い方は強度的に正解だったとか、逆に弱かったから違う方法を考えようとか。
なので、スコアカードホルダーをはじめリブートゴルフの革製品を使っている方、修理についてはお気軽にご相談ください。
お待ちしております。